第1話 酷い雷雨の夜だった

1/6
前へ
/78ページ
次へ

第1話 酷い雷雨の夜だった

 ハーイ、みんな元気かい?   俺様の名は、クシャヴァラ・カヴァラ。  小さな石をヒモでつなげて造られたシンプルな人形さ。  でもな、バカにしないでくれよ。こう見えて俺様は単なる人形じゃない。 その正体は、人間たちに願いを叶えてやれる魔性の人形なのだから。  願いを叶えてくれるの?   本当に?   小さな石の人形のくせに?   とまあ、こんな具合に色々な質問が飛んで来るが、俺様の返事はいつも決まっている。 「ああ、その通りだ。  オマエの願いを叶えてやるさ。さあ好きな願いを言ってみてくれ!」  とな。すると、大概のやつは遠慮せずに願いを口にしてきやがる。  そうしたら、喋ること喋ること。人間たちは欲望の塊さ! まるでマーライオンの口からジャバジャバあふれ出す噴水だぜ。  そんな奴らの話を聞いていれば、まあ大体、人間たちの願いは次の四つに分類されていく事が分かるな。  先ずは、叶えてやりたい願い。もしくは、叶えてやっても良いと俺様が思う願いだ。  恋のキューピッドになったり、一緒にマッキンリー登山に挑戦したり、美味しいハンバーグの作り方を伝授したり・・・・・・。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加