第1話 酷い雷雨の夜だった

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 お次は、逆に叶えてはいけない、NGな願いだな。  えっ? どんな願いでも叶えてくれるんじゃないの、だって?   お嬢さん、冗談言っちゃいけない。周囲に迷惑がかかるような類はキッパリとお断りだ。  例えば、友だちの恋仲を邪魔して欲しいとか、ライバル企業を倒産させてくれとか、世界征服がしたいとか……信じられないと思うが、この手の願い事は結構多い。  三番目は、叶えるのが簡単すぎる願い。  それぐらいの事、俺様にわざわざ頼むなよ! って呆れてしまう奴だな。愛犬ジェニファーの散歩に行ってきて頂戴とか、雨降っているから代わりにスーパーへ買い物とか、お爺ちゃんの囲碁の相手をしてやってくれ。これだけは言っておくが、俺様は家政婦ではない。絶対にな!  最後の四番目。それは、叶えるのがとっても困難な願いだ。ウ?ンと腕を組んで思わず唸ってしまう程、とても難しいやつね。  或る日、小さなガキに呼び出された俺様は「天国に行ったママを生き返らせて」と、願い事をされてしまった。あの時は流石に焦った、冷や汗タラリさ。  ボク、気持ちは分かるが俺様は何でもできる神様じゃないんだ。とっておきの子守唄を唄ってやるから勘弁してくれよな……って、そう言うしかできなかった。  まあ、とにかくだ。  そいつがどんな人間なのか、を知りたければ願いを尋ねてみるのもアリという事だ。  フッ、今夜の俺様は饒舌だ。どうやら機嫌が良いらしい。  もう少し時間はあるかい?   良かったら俺様の思い出話に付き合ってくれ・・・・・・。
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