第1話 酷い雷雨の夜だった

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 そう、あれはちょうど二年前、酷い雷雨の夜だった……。  一日の仕事を全て終わらせた俺様は、独り家路につく途中に、突然、ピョロロ~ピョロロ~、と頭の中でベルがけたたましく鳴った。  同時に俺様はブルーな気持ちに染まっていく。誰が呼び出しているのか、直ぐに検討ついたからだ。  ババアだ。アルファベット三文字で略したらBBA。  俺様を指図してこき使う、憎きババアだ。  ババアはアジアの山深い村に暮す呪術師。俺様こと、クシャヴァラ・カヴァラと呼ばれる人形を造ることができる唯一の人間だ。  それってママじゃないかって?  ママだって? そんな恐ろしげなことは言わないでくれ!  無機質なベル音。  だが、俺様にはヒシヒシと分かるのさ。ババアからの連絡なんてろくな内容では無いって。  もううんざりだ。ババアとなんか話したくはない。いっそのことスルーしてやろうかと一瞬考えた。が、そのままにしておけば、ベルだけでは済みそうに無い。何か途方も無いマネをしでかすかもしれない。  そうだ、ババアは他人の事を思わない自分勝手な奴だから。  チッと舌打ちしながら俺様は応答してやった。 「ハロー俺様だ、何か用か?   今日の仕事?
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