第1話 酷い雷雨の夜だった

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 ああノルマは全て片付けたぜ。依頼人の願いは全て叶えてやった、ノープロブレムだ。 そっちに戻っている処……そうだ。あぁっ?   今からジャパンに、トーキョーに向かえ?   おい一体どういう事だ?   急ぎの仕事が一件飛び込んだって?   おいおいおい、忘れちまったかババア。  はん? ババアじゃなくてマダムとお呼び?   そんな事はどうでも良いぜ。とにかくだ。俺様は忘れもしない。先週も同じセリフで残業させやがっただろう?  俺様は仕事とプライベートはきっちり分ける、だから残業はやらない。前にも言ったのを忘れちまったのか?   依頼が多いのだから仕方が無いだなんて、そんな野暮な言い訳俺様には通じないぜ。  アンタが俺様の人形を民芸品扱いして観光客相手に大量に売りさばかなければ、こんな悲惨な状況にならなかったんだからよ。  あ~そうさ、昔は良かったぜ。人間どもの願いも素朴なモノばかりでさ!   それに引き換え此処数年は、外国人の依頼人がやけに増えたと思ったら、大金が欲しいやら豪邸を建ててくれやらイケメンと付き合いたいやら、贅沢な願いばかり……。  あぁっ?   俺様の愚痴なんか聞きたくないだあ? 
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