第1話 酷い雷雨の夜だった

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『マネーマネー』と連呼する、金儲けしか企んでいないアンタに言われたくないぜ。  それにな、これだけは言っておく。  俺様はジャパンが大嫌いなんだ。  半年前に呼び出された魔都オオサカのオバチャン、名前は『カズエ』なんか特に酷かった、忘れもしない。会うやいきなりこう言いやがった。 『ウチの願いはなぁ、百個の願いが叶う様にしてもらうことやでぇ?』だぜ?  どんだけ欲深いのか、俺様はクラクラ目眩がしてきたね。  おい、ちゃんと聞いているのか?  だ~か~ら、俺様はジャパンには行かないぜ!   イヤだ。イヤイヤ。  もうイヤ~!  ホワッツ?  クシャヴァラ・カヴァラは、オマエしか居ないのだから、仕方が無いだって?  ザンギョウだって案外悪くはないかもしれない。やってみなきゃ判らないじゃないか?  人間たちから頼りにされる限りは、とにかく行って願いを叶えてみせろ。判る、判るよ。これからザンギョウする気持ち。アタシも若い頃はそうだったって?  イヤ、ババア。あんたは絶対違うと思う。共感されてもなんか嬉しく無いね。ホント気楽に言ってくれるぜ。  それに喜べ。今回は違う?   場所は、オオサカではなくてトーキョー?  今回の依頼人は少女だあ?  少女!   しかも、美が付くって?  美少女!  ちょっと待ってくれよ! まるで俺様が美少女好きみたいな物言いは止してくれ。単に女に弱いだけなんだから!   しっかりクネクネダンスを踊ってみせな。自慢のダンスをさ。頼んだよって……。  ちょっと待て!  お、おい話はまだ終わって……あっ切りやがった。  あのババア、いつか呪い殺してやる」
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