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俺はわざと音を立ててカップを片付けると、二人のところへ顔を出した。
「あれ? 帰ったんじゃなかったの?」
思った通りの反応に
「ちょっとコーヒーと思ったんですけど、ソファに座ったら一瞬寝ちゃって」
苦し紛れの言い訳をする。
……が、杉浦さんは人を疑わないところがあって、真に受ける。
「やっぱり……さっき、疲れてると思ったんだ。早く帰りなさい」
ついさっきまで弱音を吐いてたなんて、微塵も感じさせずに言うんだ。
そうして彼女の笑顔は俺に無力さを実感させる。
「……そうします。お疲れさまでした」
俺は二人を残して事務所を出た。
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