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「つうか、お前。さっきは橋爪の前では『大丈夫』って自信ありげに言ってたじゃねえか。その元気はどこ行ったんだよ?」
「だって……。後輩の前では弱音なんて吐けないじゃない」
手元のコーヒーはカップに注がれたまま一口も口をつけていなかった。
「ふーん。『かっこいい杉浦さん』も大変だな」
「そういうわけじゃないけど……」
「まあいいけど。俺にくらい弱音吐いて愚痴って、息抜きしろよ」
「……ありがと。そんなこと言われると今すぐ【焼肉ビール】行きたくなるよね」
「【焼肉ビール】って単語かよ」
二人の間に笑いが起こる。
こんなところに隠れて……
……バカなことをした。
どんな顔して出て行けばいいんだ?
俺が想像していたのものとは違っていたが、
そこには確かに……
二人の特別な時間があった。
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