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一見普段と変わらないように見える彼女のふとした表情や仕草に、色気とまではいかないものの「女」らしさが垣間見えるようになっていたのだ。
――五十鈴は、吾平に恋心を抱いている。
白弥が確信を得るのに、そう時間は掛からなかった。本人に自覚があるかはわからないが、ずっと一緒だった白弥にはその僅かな違いも見抜くことができてしまった。
(まだ……)
まだ吾平も五十鈴を好きになったとは限らない。その気があったとしても、長い間付き合えるとは思えない。吾平はいずれ歳を取り老いていく。そもそも五十鈴と吾平とは生きている次元が違うのだ。
だがもし、五十鈴がそれでも彼と共にあることを望んだら……。
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