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「……私は遥か昔、この楠に因り存在を得た。おそらくお前も同様だろう」
したこともない説明はいかにも不十分で言葉足らずなものだった。が、五十鈴は意外なほどすんなりと受け入れた。
「ふぅん……。それじゃあこの樹がお母さんで、わたしと白弥は兄妹みたいなもの、ということ?」
「…………。…………まあ、そのように表現しても差し支えはないだろう」
……会って間もない相手に妹と言われても、ちっともぴんと来ないのだが。
白弥の内心など知る由もなく、五十鈴は丁寧に頭を下げたのだった。
「じゃあ……これから宜しくお願いします、白弥」
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