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これは私が中学生の頃に、友人のA子から聞いた話です。
当時人気だった女性ロックバンドの曲の間奏に、ライブに行く途中で事故にあって亡くなったファンの女の子の声が入ってるとか、そういう音楽系の怖い話が流行ってた頃でもあるんですけど。
ボーナストラックって、解りますか?
隠しトラックとも言いますけど。
歌詞カードとかジャケットに曲名のクレジットは無いんですけど、アルバムとかの一番最後の曲の後に、こっそり一曲入ってたりする、あれです。
そうそう、何十秒とか二、三分とかのが多いですけど、長いと五分くらい、何の音も入ってない時間を待って、突然始まる、みたいな。
当時、A子のいとこの女の子、仮にBちゃんとしときますね。
そのBちゃんがファンだったらしいんですけど、自殺しちゃったアイドルの子がいたんです。
その子が最後に出したアルバムにも、ボーナストラックが入ってて。
普通に聴いたら、何ていうか、鼻歌みたいな、ちょっと可愛い感じの普通の曲で、最後に「ありがとう」って言って終わるんだそうです。
でも、ある順番でアルバムの曲を再生して、それから最後の曲をかけると、ボーナストラックのその一言が聴く人によって変わる、とか、そういう怖い話で。
再生する順番は単純で、4、2、1、9。
『死・に・行・く』、『死に行く』って語呂合わせです。
誰が言い出したんでしょうね、こういうの。
ボーナストラックが始まるまでの時間が、四分二十一秒だったからとか、そういう説もありますけど、私は結局怖くて聴いた事ないので、それが合ってるかどうかはちょっと解らないです。
で、Bちゃんが一人で聴くのは怖いからって、お盆の時か何かにA子の家に来た時に、アルバムを一緒に聴こうって話になったらしいんです。
最初はA子も怖い物見たさで乗り気だったみたいなんですけど、待ってるうちにだんだん怖くなってきちゃって、自分は耳を塞いで、Bちゃんにはヘッドフォンで聴いてもらうようにお願いしたんですって。
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