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僕が家を守るんだ
あれから1週間、つよし君が学校から帰るときは、ママさんと僕が一緒に学校の近くまで迎えに行った。その甲斐があり、1人でも迷うことなく家に帰れるようになった。
僕にも少しうれしいことが。散歩しているマリちゃんに偶然出会った。
突然だったので、しゃべることができずに別れることに。
マリちゃんは、チンチン、カンカン鳴っている向こうに行ってしまった。また、会いたいなあ。少しの間、じっと見つめてしまった。残念。
今夜は、アユの誕生日パーティーを家族でするらしい。アユは、4月から中学1年生になっている。セーラー服を着るとずいぶん大人っぽく見える。成長したもんだ。
なんだかとってもうれしい気分。パーティーでは、僕も久しぶりに部屋に入れてもらって仲間入り。ケーキも少しもらって、家族みんなで記念写真も撮った。自撮り棒を使ったので全員映っている。パパさんもママさんもみんな笑顔で楽しい誕生パーティーだ。
アユ、おめでとう。「ワン。」
次の日から、1日に何周も家の周りを回ることが日課となった。なぜだか分からない。部屋の中で住んでいた頃とは、何か違う。家の周りを回るたびにここは大丈夫か、あそこは、異常ないか確かめている。
少しでも変わったことがあると、確認してから「ワン。」ママさんに知らせる。
神前家(かみまえけ)の警備隊長になった気分だ。先日の夜中、不審な生き物が侵入してきた。
「ガタッ。」の物音で目が覚める。
じっと見ていると、大きさは、僕と同じぐらいだが仲間ではない。忍び足で近づいてくる。目が光っている。
「ウオッー。ウッー。」威嚇すると、「シャッー、ニャッー。」相手も威嚇してくる。
「ワン。」突進だぁ。
勢いに押されて相手は、ブロック塀の上に逃げていく。僕の勝利だ。「ワン、ワン。」
ママさんが窓を開けて、「静かに!」
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