アユが

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アユが

 最近、夕暮れがとても遅くなってきている。アユは、夕方から毎日、歩いて塾へ通っている。 帰りの時刻は、大体夜の8時頃だ。  今夜は、まだ帰ってこない。  パパさんが、「金太、行くぞ。」と言ってリードをつける。  何か迫力がある。分かった。「ワッン。」  塾に行く途中、携帯が鳴る。アユからだ。 「お父さん、すぐ迎えに来て。変な人がついてくる。」 「分かった。すぐ近くのコンビニに入って待ってろ。1分で着く。」  パパさんが走り出す。僕も力がわいてくる。「ウオーン。」  コンビニに着くと中にアユがいる。パパさんは、ほっとしている。パパさんとアユが何か話をしている。その後、コンビニの店員さんと話をしている。  しばらくして、パパさんとアユが出てくる。コンビニの外の薄暗いところで、こちらを伺っている男の姿がぼんやり見える。リードを持つパパさんの手に力が入っているのが分かる。僕は、すでに戦闘態勢に入っている。パパさんの手からリードがアユに渡される。  パパさんが近づいていくと男は逃げ出した。パパさんがダッシュで追いかける。  僕は、猛ダッシュ。アユの手からリードが離れる。パパさんより一歩早く男に追いつく。  思いっきり足首に噛みつく。「ギャー。」足を振り回すが、絶対離すもんか。  パパさんが倒れた男にかぶさり、腕を後ろにねじ上げる。僕は、まだ噛みついたままだ。 「何故、逃げた!」パパさんが、大声で叫ぶ。少し怖い。 「ごめんなさい。可愛かったから、つい後をつけただけです。」  すぐにパトカーが到着して、おまわりさんに引き渡す。コンビニの店員さんが通報してくれたのだ。家にも無事の連絡を入れる。  少しの間、事情聴取を受けてからコンビニでお菓子を買う。僕にもジャーキーを買ってくれた。お巡りさんの話では、男の人は、以前に痴漢の容疑で捕まったことがあるらしい。  アユが本当に無事でよかった。これからも、この家族は僕が守っていく。  僕は、警備隊長だ。
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