怖い日

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 つよし君が、おなかをなでても反応しない。置物状態になっている。仕方がないのでそのまま抱っこをして、動物病院に入る。  自分から降りようとしないので、ずっと抱っこしたままだ。周りにはたくさんの種類のワンちゃんがいる。体調の悪そうなワンちゃんがいれば、走り回っているやんちゃ犬もいる。受付を済ませて、診察室へ。その頃から金太は、震え出す。お医者さんと目を合わそうともしない。目がうつろになっている。お医者さんに頭をなでられても反応しない。  お医者さんは、注射器を持って首より少し下の部分を触りながら、 「ごめんね、大丈夫だよ。」と言いながら注射をする。 「はい、おしまい。」あっという間に予防接種が終わる。  金太は、小さい声で「キャイン。」ぐたっとなる。  「キューン」  ズボンのようなものをはかされて、これからどうするんだろう。おしっこを漏らしたらだめなところへ行くのかな?首にひもがついているということは逃げられないということか。何か怖いところへ行くのかなあ。嫌だなあ。  よっし。死んだふりをしよう。  もう何も見ないようにしよう。車が止まったけど、歩かないぞ!  何か、犬の絵が描いてある。消毒のくっさい匂いがする。もうだめだ。  仲間の匂いがするけど、大丈夫かなあ。     
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