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その場にふらりと立ち上がると、倒れ掛かるように被さってきた。
「久しぶりの、ぎゅっ」
私も彼の腰に腕を回す。滲みるなぁ、と思う。
「僕は君を傷つけたんだよね」
私は背中を擦ってやる。
「そばにいるとまた傷つけるんだよね」
背伸びして、頬にキスをする。迷子の子供のような顔に。
「わかってるんだけど、離したくない」
相田さんは、私の髪に指を差し入れて、くしゃくしゃにかき回して、顔に、キスの雨を降らせた。
「可愛がりたい。気持ちよくさせたい。イく顔、見たい」
「相田さん、何か食べた方がいいですよ。私、用意しますから」
「ダメ。こっちが先」
相田さんは、私の左手を取って、薬指の内側に舌を這わせた。
疼いた。抵抗できない。
私は、指を三本立ててみせた。何? 条件? 相田さんが口元を引き締めた。
「ひとつ。今日は道具や薬は無しです」
相田さんは、まばたきで了解を表した。
「ふたつ。私にも相田さんを気持ちよくさせてください」
彼は、困ったように眉を寄せた。
「みっつ。最後まで愛してください。この間のように」
相田さんは、目を伏せた。
「自信はないな。あの時とは違う。止まらなくなるかも知れない」
「でなければ、嫌です」
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