【番外編】LIFT

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「告白、というのとは違いますが……、聞いてみたいな。貴女は、何が欲しいですか?」 「欲しいもの……、ですか。思いつきません」 「贅沢な暮らしはしたくありませんか。せめて、明日の不安のない余裕のある生活を」 「不安なんて、ありませんよ。私」 女は、穏やかに微笑む。俺は目をすがめる。 「そう、そういう人だな。貴女は。私が何を与えようとしても、見向きもしない」 「どうか……、しましたか」 俺は、女の身体を抱きすくめる。女は腕の中で身を縮める。細い肩だ、と思う。 「私の欲しいものを教えてあげましょうか」 そう言うと、女の髪を結いとめている髪留めを外して投げる。髪はさらさらと流れ落ちて、俺の手の甲をくすぐる。もう片方の手で、女の上着の第一ボタンを外す。 頭をつかんで、唇を押し当てる。背けようとする顔を押さえつける。 口うつしの戸惑いと驚愕を、充分に味わって、俺は顔を離す。 うろめく女の目を認め、腰から背中へ力が立ち昇る。 「貴女です」 女の声が震える。 「そんなわけ……、ありません」 「どうしてそう思うんです」 「あの人が悲しむことを、貴方がするわけ……」 「あいつの打ちのめされた顔……。もう一度見たいですね、ぜひ」 女は、唇をきつく引き結んで、俺を弾くように見る。 「そんな顔、私がさせません」     
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