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そのひとことで充分だ。俺は女の上着の襟を両手でつかみ、肩から肘関節の下まで引き下ろす。
ぴったりと身体の線に沿うほどタイトなスーツは、そうしただけで、軽い戒めになる。女は、自分の腕を引き抜こうと必死で身体をくねらせる。もどかしげに伏せられた睫毛が悩ましい。
そのまま女を壁面に押し付ける。ブラウスの襟元に手をかけ、一気に裂く。ボタンがはじけ飛ぶ。片方の乳房を、薄い布の上から手荒く握り上げる。女の整えられた眉が歪む。
「何を……っ」
「もっと上等な物を買ってあげます。いくらでも」
「いりません。やめてください」
片脚を抱え上げて、体勢をくずさせ、床に引き倒す。
タイトスカートの裾をウエストまでたくし上げて、ストッキングを、伝線した箇所から脚の付け根まで引き裂く。
生々しく白い脚に絡みついた化学繊維を、邪魔な薄い布きれと共に、剥ぎ取るように引き降ろして片足を抜かせる。
やめて! 誰か! 女は、叫び続ける。
俺は、片膝と片手で、女の腿を押さえつけ、開かせる。
「聞こえませんよ。誰にもね」
低い声で囁く。
「それに、今、誰かに来られたら、困るのは貴女でしょう。自分がどんな格好をしているか、分かってるんですか」
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