二章.父と子

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そして、ようやく父が部屋に入って来た。 父は顔を真っ赤にしており、ずっと泣いていたのだと分かった。 パパが私のために泣いてくれた... それがあの母の写真に対して見せたものとは意味が違うと何となく理解はしていたが、それでもどこかあの母というものに勝ったような、そんな気になった。 写真...?私、家を出てそれから...。 写真の事を思い出した少女は瞬時にあの時の事を思い出した。 必死に叫ぶ父と横から迫る光。 そして宙を舞う身体と天と地の反転した視界。 そっか私、列車に轢かれたんだ。 思いの外冷静な自分に少し驚きつつも、父がこんなに自分のために心を割いてくれるのがたまらなく嬉しかった。 そしてその日、父から自分の今の状態を聞かされた。
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