一章.神と天使なる者

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『私の天使、泣かないで。...ああ、ここはどこだったか、私はなぜここにいるのか、いつからここへ来たのか』 『神様、ここは私たちを永劫に閉じ込める幸せな檻でした。灼熱の炎も燃え盛る大地も、果てのない永遠の時と空間も...けれどあなたは去ろうとしている。なぜ、なぜ...』 『ああそうだった...。ここは熱いんだ、ひどく。肌が焼かれて、爛れて...。ただそこに在るだけで空気が私の喉を引き攣らせる、喋る事が出来る事自体不思議でおかしいんだ...』 『...そうなのですね。神様、あなたは変わってしまったのですね。...この炎が苦しみに変わってしまった。もうあなたにとってこれは救いの炎ではないのですね』 『救いの炎とはなんだったのか。私は何か変わったのだろうか、教えてくれ、私の天使』 『ああ、寂しい、悲しい...。けれど神様、それがあなたの救いならば...』 『私の天使、悲しまないでおくれ』 『ええ、ええ、もう悲しみません。代わりに一つ、ある男と少女のお話を聞かせてあげましょう』 『お話?』 『そう、とても"幸せな終わり"を迎えた二人の話...ごく普通の家庭の父と子の物語を』
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