雨音に消え逝くはひとひらの涙

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傘を伝い 地に咲くタンポポの黄金を伝い ようやく辿り着きました 広がる空は 綺麗過ぎて うつむくことしか出来ません 心を持たない感動の粒が ぽつり ぽつり、と 背を濡らしても 自分はあまりに汚れ過ぎて 混ざり合うことさえ出来ません 互いに眼を合わすことも 眼を反らすこともなく 無機質に相反した心と躯が けたたましい違和感を創り出しながら わたくしは独り あまりに惨めな涙を流し 音もなく消え失せて逝くのでしょう たくさんの雫が舞っています わたくしの瞳にも ぽつり ぽつり、と 雨の匂いが鼻孔を擽る
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