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「坂下様、何点か質問がありますのじゃが」
「はい」
坂下は緊張した面持ちで答える。
「今、ペットは飼っておられるのかな?たとえば……犬とか」
「……いいや。飼ってないです」
坂下はそう答えた。坂下の眉間にほんの少しシワが寄った。
「なるほどの。では昔はどうじゃ?例えば、小さい頃や、学生の頃」
「…………はい。一応飼ってはいました」
重苦しい表情で坂下は答える。
「なるほどの。ちなみに坂下様の奥様は、ペットはお好きなのかな?」
「はい。妻は何度か犬を飼いたいと言っていたのですが、私が断り続けていたのです」
「なるほど。では飼わないのには、何か理由があったのですかな?」
「……いや、私が嫌だと申したので」
「それは、なぜですかな?」
ここまでホイットニーに問われたところで坂下は押し黙ってしまった。
「なるほど。まあよい。ちなみに坂下様の奥様との出会いはどこじゃったのですかな?」
「彼女、近所の喫茶店で勤めてて、可愛くて、てきぱきと動いていて、素敵だなぁと思って通いつめたんです」
「なるほどの。今、奥様は仕事は?」
「専業主婦なので、仕事はしていません」
「なるほど。すっぴんか……」
「え?すっぴん???化粧はしますよ?」
坂下が答えたところでセーファスが慌てて飛んで来た。
「大長老、こっちの世界では無職のことを『すっぴん』なんて言いませんよ。いい加減龍の星の常識を取っ払ってください」
セーファスが耳元で囁く。
「う、うむ……」
ホイットニーは一瞬ばつの悪そうな顔をしたが、気を取り直して質問を続ける、
「では最後に聞くが、坂下様、学校生活はどうでしたかな?楽しかったとか、そうでないとか」
「……あまり楽しいものでは……」
「それは、なぜかな?」
「……実は、いじめに遭ってました。中学の間、ずっと」
ホイットニーは暫しうつむいて考え込んだ後、坂下の顔を見つめた。
「おぬ……いや、坂下様、もしかして……」
「……はい。仰る通りです」
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