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「なるほどの。分かり申した。貴殿の適職は……」
「……なるほど。でもそうなると、妻の協力も必要になりますね」
「そうじゃの」
「分かりました。妻と相談してみます」
そう言って坂下が席を立とうとしたとき、
「あの……」
セーファスが坂下に声をかける。
「何でしょうか」
坂下が声をかける。
「相談料、5400円になります」
「……結構なお値段ですね」
坂下の顔色が渋くなった。
「すみません……当相談所は伝説の勇者様およびその御一行様以外からは料金を頂戴しておりまして……ご理解願います」
坂下は渋々財布から千円札5枚と百円玉4枚を出す。
「ありがとうございます」
セーファスは坂下に最敬礼をした。
「でも、転職の儀式はさらにお金、かかるんでしょ?しかも2人分だ。それは厳しいですね」
坂下が言いにくそうに話す。それに対しセーファスは
「クレジットカードもご使用になれますよ。最大60回払いまでお選びいただけます。今回のケースですと、転職の施術料は21600円ですから、月々360円の60回払いになりますね。あ、利息と手数料は当相談所が負担いたします!」
と、どこかのテレビショッピングで聞いたことのあるような語り口で言う。
「……わかりました。妻と相談いたします」
そう言って坂下は相談所を去っていった。
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