勝利の結末

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②原案  目覚めるとそこは 屋外の階段の踊り場だった 静かに打ち寄せる波と 藤壺だらけの階段は 青く深い海へと続いている 今にも吸い込まれてしまいそうだ 岩場の方へと近づいてみると 太陽が眩しくて思わず瞼を閉じた ゆっくり瞼を開けると 目の前には、大海原が広がっている 懐かしい故郷を思い出して とても穏やかな気持ちになる 長い戦いの末 俺は、生き延びている 感慨深く暫く海を眺めていた  この戦いで虚しさ以外 いったい何が残ったというのだろう 俺たち特殊部隊は、任務を遂行した 皆は、無事なのか・・・ 仲間とは、ここで落ち合う約束だ 俺たちの戦いは終わったのだ 生きて家族に会える 息を潜めて戦い続けた 精鋭たちは、言葉を交わさなくとも お互い手に取るように分かる いつも皆の気持ちは同じだ 迎えの船が見える 俺は、力いっぱい両手を振った 皆、生きていたんだな  「みんなー!」 どうしたのだろう なぜか浮き浮きとした気持ちが 抑えられない 「こっちよー!」 かもめが青空を滑空している 「カモメさん、カモメさんこんにちは!」 海に太陽が反射している 「キラキラ眩しくて、 海はこんなに素敵だったのね」 なぜだ 「世界がとても愛おしい」 美しく優しい言葉しか口から出てこない 「こらこら、カニさんったら」 いったい俺はどうなっちまったんだ  船が近づいて来た 「隊長!ご無事で・・・」 皆泣いている どうしよう・・・ どんどん近づいて来る 「隊長!ご無事でなによりですわ!」 「よいしょ、よいしょ」 どうしたんだ皆まで・・・ 「隊長、みんな丁寧な優しい言葉でしか 喋れなくなったのですわよ!」 長期間の潜伏で気付かなかった これから妻子の待つ国へ帰るのだ 俺たちの 自分との戦いが始まった
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