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明日が最後の花の観察になる。
観察が終わったとしても、桜屋敷がある限り冬美とまた一緒に遊びに行けばいいと私は思っていた。
私たち二人の隠れ家のような場所。来年の春には桜を見に冬美と行きたい。
自分の部屋のベッドに寝ころびながら私はそんなことを考えていた。
隣の冬美の部屋はやけに静かだ。
まだ八時だけれど、明日のために早く寝たのだろうか。
私は起き上がり、冬美の部屋に向かった。
そっと部屋に入ると中は真っ暗で、冬美は寝息を立てて眠っていた。
私は彼女の髪を撫でながら、
「大好きだよ。おやすみなさい。また明日。」
そう言って自分の部屋へ戻った。
私は自分の机の引き出しにしまってある誕生日にもらった冬美からの手紙を取り出し、ギュッと抱きしめるのだった。
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