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観察している冬美の真後ろにある切り株の上にティディベアが置いてあった。
そういえば、最初に冬美がここに手紙を置いたのが不思議な出来事の始まりだった。
ティディベアの横にはいつものメモ用紙が添えてある。
「今日で夏休みは終わりですか?あなたのおかげで僕はとても楽しい夏休みを過ごせました。感謝しています。S」
文章の終わりにアルファベットのSの文字。こんなことは初めてだった。
幽霊のイニシャルだろう。それが名字のものか、それとも名前のものかを私は深く考えなかった。
花の観察が終わったので、私たちは庭の見えるリビングへと移動していた。
ここに来るのも、もう何回目になるだろう。
初めは怖くて震えていたのにすっかり慣れてしまった。
テーブルにナフキンを広げ、その上にお皿に乗せたケーキを置いた。三つ分ある。
自分の分と冬美の分とクマの分である。まるでおままごとをしているようだった。
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