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「レイが、いきなり来るなんて珍しいね」
祝勝会で、何かあった?
尋ねる未波から慌てたように視線を逸らし、「いや」と辻上は呟く。
すると、珍しく焦っている彼の様子に、未波の奥で「もう一声!」と煽りが入る。
「あぁ、もしかして、お店がこの近くだったの?」
だが、押し黙った辻上の目が、明らかに泳いだ。
そして、今この瞬間に何かを思い出したのも明らかに、険しく眉根が寄っていく。
そして恐らく、照れと恥ずかしさに、猛烈に自分に腹が立ってきているに違いない。
あぁーあ、もうちょっとやりたかったのにな。
だが、どうやらここら辺が潮時らしい。
だから未波は、これ以上彼を追い詰めることはしなかった。
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