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実はこの日、めでたく試験結果も出たことで、
久しぶりに、ゆっくり夜のデートをする約束をしていた。
それが突然キャンセルになったのは、夕方を前にした一通のメール。
『すまん。非常事態で、ちょっと実家に行かないとならない。
悪いが、今夜はキャンセルしてくれ。穴埋めは、必ずする。また連絡する。』
いつも訥弁メールの彼にしては、かなり長いメール。
それだけに、悪いと思っているだろう彼の気持ちは伝わってきた。
ところが、そんな辻上から再び連絡があったのは、
帰宅して間もなくの6時半すぎ。
「なぁ、三歳児の飯って、何を食わせればいいんだ?」
電話をかけてきたと思ったら、向こう側から、ひどく焦った彼の声が
藪から棒に尋ねてくる。
しかし、そこに登場した人物に、未波の胸の内がザワついた。
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