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そして翌日は、守衛のありがたい勘違いに便乗。
しかしその日の守衛室に、あの守衛の姿はなかった。
「あの、すみません。ラウンジで……」
しかし伝達は、きちんとなされていたようだ。
おずおずと切り出すと、当番の守衛がニコリと笑う。
「聞いてますよ。ここに、署名していってくださいね」
そして、いつも通りに、すんなりと通された。
エレベーターを待つ時間が、やけに長く感じられた。
そして、エレベーターで最上階へ運ばれる間に、未波の鼓動も速さを増す。
正直、最初にかける言葉は浮かんでいなかった。
それどころか、ここに来ると決めた昨日の夜は、
一晩中浮かんでこない言葉を探して、ほとんど眠れていない。
そして、到着した最上階で聞こえてきた静かな旋律を耳に、
未波の胸はギュッと詰まった。
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