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未波は、切れたスマホを手にしたまま、小さく片目を細めた。
どうして、あんなに焦ってたのかしら。
例えば、何かの理由で小さな子供を預かったとしても、
普段の辻上なら、ファミレスに連れて行くくらいの知恵は回るはず。
だが、電話の向こうの彼は、見たこともないほどの慌てぶりだった。
しかし、未波の所にSOSをしてきたということは、
疚しい存在という訳でもないのだろう。
でも――。
「とにかく」
掌にポンとスマホを打って、未波は立ち上がって呟く。
「そこら辺は、じっくりこれから聞きましょうかね」
そして、フッと不敵に片頬だけで短く笑った。
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