15 ベイビーSOS

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正直なところ、胸に浮かんだモヤモヤで、ちょっと辻上をからかえるかな とも思っていた。 しかし、いざ玄関に現れた辻上を目に 未波の中に、にわかに渦巻いた毒気が矛先をかわされた。 甲高い呼び鈴を耳に廊下に出ると、もう扉を開けるまでもなく その向こうの光景が目に映るような、激しい子供の泣き声が聞こえてくる。 そして扉を開けると、大泣きをする子供が 抱き上げている辻上の顔や頭を闇雲に引っ叩いていた。 当然ながら、未波はビックリした。 だがそのすぐ後に、思わず吹き出しそうになって、慌てて笑いを呑み込む。 そして突然現れた彼女の姿に、驚いたのだろう。 未波の目の前で、泣き暴れていた子供が、ピタッと泣き止んで振り返る。 だから、涙で頬を濡らし目を丸くする目の前の男の子に 未波は、ニッコリと笑いかけた。 「いらっしゃい。お腹空いたね。さあ、ご飯にしよう」
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