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横山 涼太。
小さな男の子のフルネームを知ったのは、
困って、疲れ果てた辻上と彼が一緒に玄関に現れてから、2時間後。
夜の9時を、目の前にしてのことだった。
「コイツ、従姉妹の子供なんだ」
顔見知りといえども、母もいない所で一日を過ごし、
最後には、空腹と心細さで大暴れをしたために疲れたのだろう。
涼太は、未波が用意したうどんを食べ、
辻上に風呂に入れてもらってベッドに入ると、
未波が絵本を読み聞かせている内に、コトンと眠りに落ちた。
そして、ぐっすりと眠る涼太を背後に、ベッドの側面に二人で並び、
ちょっとホッとしたように、暖かい紅茶をすすりながら辻上が話していく。
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