13 別れの曲 (つづき)

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美しく、繊細に流れてきたその曲は、未波にも馴染みのあるもの。 あの有名な「別れの曲」。 それを耳にしながら、ゆっくりとラウンジへと向かった未波は、 もう入り口に立った時には涙が堪え切れずに溢れていた。 自分の口から滑り出た愚かな言葉と、傷ついた辻上の顔が脳裏に蘇った。 そして、それからの彼の気持ちがこの旋律に映されているようで、 切なくて、辛くて、苦しくなる。 未波は、入り口に立ったまま顔を両手で覆い、 漏れてきそうな嗚咽を必死に押し殺して泣いた。 だが、彼女には気付かないのか、ピアノの旋律は流れ続ける。 その音色が、やがて静かに終わると、 一瞬の間を空けて、愛しい人の声が驚いたように呟いた。 「未波……」
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