宇宙船から帰還後のこと

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 引っ越しのために部屋の片づけをしていた日、何気なくCDコンポのスイッチを押した。ラジオジャパンにチューニングをあわせてみた。野太く、ハリのある低音の持ち主。聞き覚えのある声がする。 「さあ、はじまりましたよ。浜渕信之です。今日から心機一転、ウキウキ・ウィークラジオという名前でお送りしたいと思います。アシスタントは大学生の澤田ノリカちゃんです。今年大学二年生だったっけ? よろしくね」 「はぁい。はじめましてぇ。澤田ノリカっていいますぅ。リスナーのみなさぁん、ノリちゃんって呼んでくださいねぇ」  浜渕さんの後を追うように、アシスタントの子が舌足らずで甘くネバついたような声をあげていた。  気がつくと、ぽたりと、無数のしずくがスカートの上に落ちていた。無地のスカートに水玉の柄をつけていく。手を止めてまで、番組を聴くものではなかった。泣きながらCDコンポを止めて、そこらへんにあったダンボールにしまい、引っ越し業者が来るのを待っていたっけ。  また、思い出してしまった。   頬に流れる涙をぬぐうと、検索サイトに戻って求人情報サイトを検索しなおした。女性を気遣うような鮮やかなパステル調でまとめられたホームページが現れる。どうやら、人材派遣会社のホームページにたどりついたようだ。
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