最低で最高のクリスマス

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目が覚めると屋外階段の踊り場だった。 朝日が目に痛いし寒い。 「何故こんな所に」「寒空の下で寝るなんて」「体のあちこちが痛い」などと考える前にガンガンと痛む頭が一瞬にして昨日の出来事を思い出させてくれた。 そうか。私は仕事を押し付けてくる嫌味な上司や小言だけは一丁前の先輩、平気で浮気する彼氏に嫌気がさして酔った勢いで自殺を図ろうとしたのか。そしてこの目の前の階段を登りきれず途中で転倒し、そのまま夢の世界へ旅立ったと。 うん。今日はせっかくの休みだし、目の前に階段があったら登りたくなるのが人間でしょ! かつかつとヒールを鳴らし、昨夜は登りきれなかった階段を登りきると一人の男性がいた。中々お目にかかれないイケメンだ。何故こんな所に、という疑問より先に是非お近づきになりたいと思った。 「お兄さん!そこのお兄さん!何してるの?」 「ひっ!なんで人が!?うっわ!酒臭いから寄らないでくれ!」 しっしっと手で払われたので一定の距離を保ち、一方的に自分のことを話す。意外にもちゃんと聞いてくれ、話がひと段落ついた時にお兄さんも自殺を図ってるのだと教えてくれた。 そしてお兄さんこと九条さんはいいご身分の方だったようでこの建物の所有権を持ってるんだと。だから建物の中からこの屋上に来たため、屋外階段で寝てた私に気づかなかったらしい。 屋上に行く道が二つもあるなんて珍しいな、と思った。 こうして私たちは出会い、最低で最高のクリスマスという一日を過ごすことになる。ヒューマンドラマであり、ラブコメディ。ここに始動。
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