強引な男

3/37
前へ
/1258ページ
次へ
温かみのあるオレンジ色の灯が、暗い店内にぼんやり漂っている。 ほぼ客で埋め尽くされた、L字型のカウンター。 テーブル席もあり、そこも客で賑わっていた。 静かなBARを想像していたのに、賑やかな雰囲気に圧倒され、扉を開けたものの帰ろうかと。 だけど、外は雨。しかも降り出したと思ったら、叩きつけるような豪雨。 ずぶ濡れになる覚悟もなく、バーテンダーに促され、カウンター席へ着く。 飲みたい気分だった。何もかも忘れて。 だって私の心は外の天気と同じ、雨模様。いや、雷雨か。 腹立たしいやら悲しいやら、カクテルの味なんて全く分からない。 自分が、惨めな女に思えて仕方なかった。
/1258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11228人が本棚に入れています
本棚に追加