夏の思い出

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やっと足の届く浅瀬まで連れ帰ってもらい、ホッと息をつく。 深いところでは不利だけど、足が着けばこっちのもの。 マンタの紐を引っ張る一久を呼びとめ、振り向いたところを狙って海水を引っ掛けてやった。 不意打ち成功。 「うわっ、ぶっ」 まともに海水が目に入ったらしい。手で瞼をこすっている。 「ははっ、意地悪したからそのお礼だよ」 くそっとぼやく一久を見て、にんまりしていたら突然世界がひっくり返った。 どぽんっ。 派手に水しぶきを上げ、吸い込まれるように水中へ。 お尻が砂にタッチ。もわんと舞い上がる砂で海水が白くなる。 手足をバタつかせ、もがきながらも水面へ顔を出した。 「ぷはっ」
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