夏の思い出

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鼻の奥がつーんとして痛い。 海水でガシガシになるから、濡らさないように気をつけていたのに、髪までどっぷり海水含んでぐっしょり重い。指を入れギュッと絞って、爆笑している一久を睨む。 「はははっ」 全く、なんつーことするんだよ、この男。 これがベッドで愛してると甘く囁く男と同一人物だなんて。ほんと、信じられない。 「酷いよっ。耳まで水入って、ゴーゴーしてる」 「そのうち出てくるって」 もうっ、信じられない。反撃のつもりで、彼の背中をバシッと叩くと。 「んぎゃーっ」 どぼんっ。 水面にしぶきが上がった。 「ははははーっ」 青空に彼の笑い声が響く。
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