11128人が本棚に入れています
本棚に追加
/1258ページ
一久との生活が始まって、一ヶ月。
何もなかったキッチンに色んな物が増えた。
彼との同棲生活にも少しずつ慣れてきた、が、彼の金銭感覚には、まだついていけない。
食費だと言って手渡された銀行カード。
「カードは預りたくない」
「たいして入ってないから」
それを鵜呑みにした私があほだった。彼と買い物に行った時のことを考えれば、分かったはずなのに。
引きだそうと残高確認した私は、ATMの前で「うっ」と唸った。
一、十、百、千、万・・・・・。待って、桁多くない?
これ食費だけだよね?
「預ける額が多すぎる。もし私が、全額引き出して、逃げたらどうするの?」
文句を言えば。
「たかだか百万円で、お前は人生を棒にふるほど、あほなのか」
「それは・・・・」
言葉を詰まらせる私の頭を掌でグリグリ。
「好きにつかえばいい。時々残高見て、足しとく。足りない時は言ってくれ」
つかえと言われても私は、根が貧乏性。
そんな大胆な買い物出来るほど、度胸はない。
最初のコメントを投稿しよう!