昼下がりの情事

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一久との生活が始まって、一ヶ月。 何もなかったキッチンに色んな物が増えた。 彼との同棲生活にも少しずつ慣れてきた、が、彼の金銭感覚には、まだついていけない。 食費だと言って手渡された銀行カード。 「カードは預りたくない」 「たいして入ってないから」 それを鵜呑みにした私があほだった。彼と買い物に行った時のことを考えれば、分かったはずなのに。 引きだそうと残高確認した私は、ATMの前で「うっ」と唸った。 一、十、百、千、万・・・・・。待って、桁多くない? これ食費だけだよね? 「預ける額が多すぎる。もし私が、全額引き出して、逃げたらどうするの?」 文句を言えば。 「たかだか百万円で、お前は人生を棒にふるほど、あほなのか」 「それは・・・・」 言葉を詰まらせる私の頭を掌でグリグリ。 「好きにつかえばいい。時々残高見て、足しとく。足りない時は言ってくれ」 つかえと言われても私は、根が貧乏性。 そんな大胆な買い物出来るほど、度胸はない。
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