昼下がりの情事

13/22
前へ
/1258ページ
次へ
戻ってくると、誰が持って来てくれたのかテーブルには、焼き肉や焼きそばが手つかずのまま置いてある。 三人は、仕事の話に夢中の様子。 あそこの現場は、周辺に車待機する場所が少ないとか、役場の絡みで値段がきついとか、更地になった土地をどこが買ったとか、市民病院の入札がどうとか、そんな話。 黙って、目の前に生ビールを置くと三人の腕が一斉に伸びてくる。 「そう言えば、一久」 「はい」 内田社長は、胸ポケットに入れていたタバコを取り出した。 「倉庫建設の誘導断ったらしいな」 「いえ、他の奴に行かせるって返事しただけで、断ってはいませんよ」 「それでか。俺から頼んでくれって、天野ちゃんが泣きついてきたんだよ」 一久は、苦笑い。 「天野さん、きたねぇな。内田社長に頼むなんて」 「今回の日程、かつかつだからな。しかも納期遅れるとペナルティ食らうし、そりゃ必死だろ」 「ペナルティなんてあるの」 一久が頷く。 「俺ら材料屋には関係ないけどな」 「お前が忙しいのは分かってる。けど、助けてやってくれないか」
/1258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11219人が本棚に入れています
本棚に追加