昼下がりの情事

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誘導って人によって、そんなに状況が変わるのかな。私は、洋二さんに顔を向けた。 「一久さんの誘導は、有名だからね」 「何が違うの?」 洋二さんは、ビールの入ったプラスチックカップを手に取った。 「一久さんが誘導すると現場の動きがスムーズで、予定時間より早く終わる。しかも打つ量の見極めが早くて正確だから残コンも少なくて済む」 「そう、でかい現場は結城生コンを使って一久に誘導してもらいたがる」 岩田社長に肩を叩かれ、一久は、よほど行きたくないのか困った表情をする。 「ただし、めちゃくちゃこわい。怒鳴られると鷲掴みされたみたいに心臓がビリビリする。朝一に入った運転手なんて、ビビって今日の誘導一久さんだって、皆に連絡入れまくるよ」
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