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「まさか朝七時から八時に、サービスの至らない喫茶店にいた理由も」
「お気に召すターゲットを、窓際から物色していたのだ。
ちょうど小学校の、登校時間にあたるわけだかなら。
ふん、立地がいいからとはよく言えたものだ」
「では早速、警察へ通報しましょう」
いそいそとブレザーのポケットから、取り出したスマホを私は制した。
「まだ決定的な物証とは言えない。
拾った物だ、と言い抜けられたら到底立ちうち出来ないだろう。
その場合、蘇芳や小学生、そして私達にも報復の恐れがある」
「じゃあどうしますの?」
「これから私は本紫に連絡を取る。
家に潜入し、決定的な証拠を掴むのだ」
「無茶よ。
お願いだから、危ない真似はしないで」
「スマホを持っていくから、大丈夫だ。
危なくなれば、すぐに警察を呼ぶさ。
それに本紫が、彼女の住所調査を依頼した理由は未だ不明だ。
理由を偽って、小鷹女史に依頼するような奴だぞ。
きっと何か企んでいるはずだ。
私達が巻きこんでしまった彼女を、放っておいてもよいのか」
それは、と雷花姉ぇが言い淀む。
「上手くやるさ。
とにかく家に帰って準備をすすめる」
小鷹女史は、五時を過ぎても帰宅していなかった。
私は小鷹女史の部屋に失礼し、机の引き出しからあるものを失敬した。
本紫とはすぐに連絡が取れた。
二人きりでもっと話したい、という呼び水にいとも簡単に乗ってきた。
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