第八席 日用品連続盗難事件

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 準備を整えた私は、今朝のカフェで落ちあい彼女の車に乗り込んだ。  市街地を抜け、やや寂しい郊外へ三十分ほど車は進んだ。  車内では怪しまれている様子は無く、意外と会話が弾んだ。  古ぼけた、一軒家の車庫に乗りいれた。  家に入るなり、私はトイレを借りることにした。  もちろんそれは口実で、彼女の家で連続窃盗事件の物的証拠を調べるためだった。  お菓子の準備をするといって、彼女は雑然とした台所へ消えた。  トイレの向かい側に、引き戸の部屋が一つあった。  軋む木製ドアを慎重に開ける。  机の上に運よく、スリープ状態の開いたノートパソコンを発見した。  幸いにもロックはかかっていなかった。  パスワードに悩まされることなく、すぐに隠し持っていたUSBメモリを挿入。  パソコンにソフトをダウンロードし、操作した。  十分程かかりそうなので、そっと部屋を出て他の部屋を探索することにした。  一階は見通しが良く、あまり動き回ることはできそうにない。  思い切って階段を昇り、手前の部屋から覗いていくことにした。  階段を昇ってすぐの部屋を覗くと、私は絶句した。  家具が何一つ無い、がらんとしたフローリング敷きの部屋だ。  窓には分厚い遮光カーテンが、かかっている。
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