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準備を整えた私は、今朝のカフェで落ちあい彼女の車に乗り込んだ。
市街地を抜け、やや寂しい郊外へ三十分ほど車は進んだ。
車内では怪しまれている様子は無く、意外と会話が弾んだ。
古ぼけた、一軒家の車庫に乗りいれた。
家に入るなり、私はトイレを借りることにした。
もちろんそれは口実で、彼女の家で連続窃盗事件の物的証拠を調べるためだった。
お菓子の準備をするといって、彼女は雑然とした台所へ消えた。
トイレの向かい側に、引き戸の部屋が一つあった。
軋む木製ドアを慎重に開ける。
机の上に運よく、スリープ状態の開いたノートパソコンを発見した。
幸いにもロックはかかっていなかった。
パスワードに悩まされることなく、すぐに隠し持っていたUSBメモリを挿入。
パソコンにソフトをダウンロードし、操作した。
十分程かかりそうなので、そっと部屋を出て他の部屋を探索することにした。
一階は見通しが良く、あまり動き回ることはできそうにない。
思い切って階段を昇り、手前の部屋から覗いていくことにした。
階段を昇ってすぐの部屋を覗くと、私は絶句した。
家具が何一つ無い、がらんとしたフローリング敷きの部屋だ。
窓には分厚い遮光カーテンが、かかっている。
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