第八席 日用品連続盗難事件

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 目当ての児童から、奪おうとし彼女に阻止されたハンカチ。  それを現在所持しているのは、調査対象者である蘇芳ではなかったか。  だとすれば大人びた雷花姉ぇに対しての、冷遇も筋が通る。  そして同年代と比較して低身長である、私への心温まるおもてなしの理由も。  物証として、手近な袋を一つブレザーの内ポケットへ押し込んだ。  後はパソコンに差しこんだ、USBメモリの回収を残すのみ。  ドアを閉じて、そろそろ階下に戻ろうとドアノブから手を話した瞬間。   ぎしっ、と背後でフローリングの床が軋む音が聞こえた。  ぞっとして振りかえり、背筋に氷水を浴びたような寒気を覚えた。  笑顔の仮面を貼りつけたような、不自然に強張った顔の本紫と目があった。 「水花ちゃん、トイレは一階だよ」 「迂闊だった。先に場所を聞いておくべきだったな」  すっと彼女は目を細めたが、私が二階にいる理由をしつこく追及してくることはなかった。 「さあ、お菓子の準備が出来たよ」 「すまないが、用事を思い出したのだ。茶会は日を改めよう」 「どうしてそんな悲しいこと言うの?」  途端に腕を万力のような力で、握り込まれた。 「飲み物なら、大抵のものはあるのに。  水花ちゃんの好きな飲み物、知りたいな」 「――ではホットミルクを頼もうか」
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