第八席 日用品連続盗難事件

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 効果はてきめんだった。  どうにか自販機まで、辿り着くことができたからだ。  親に連れられた子ども、という見てくれではあったが。  自販機をじっと見つめながら、私はしばらく立ちつくしていた。 「どうしたの。  紅茶飲料なんて、どれでも同じでしょ」 「バカな。  嗜好品は、こだわりが大事なのだ」  本紫にせっつかれて、増量中と書かれたホットレモンティーのボタンを押す。  舐めるような目線に監視され、スマホを使う余地はない。  更に土地勘の無い中、無理に逃げ出す事も得策でないと悟った。  台所に戻った私は、手を洗うとティーカップセットの捜索を命じた。  本紫が食器棚を漁る後ろで、私は紅茶飲料や牛乳を準備するなどしミルクティーの準備を始める。  本紫が差しだしたティーポットへ、パックから牛乳を注ぐ。  ポットをガスコンロにかけ、沸騰する直前に火を止める。  もちろんティーカップを、事前に湯で温めておくことを忘れなかった。  ポットに多めの砂糖と、レモンティーを加え完成だ。 「私特製ロイヤルミルクティーだ。  口に合うといいのだが」 「私だけの為にわざわざ? 嬉しいわ」  文字通り、本紫は紅茶をがぶ飲み。  ポットいっぱいのロイヤルミルクティーは、すぐ空になった。  それにしても、こいつの話は内容が無く退屈だ。  ほどよく効いているエアコンと気疲れも手伝ったのか。  本紫の声が徐々に遠のく。  たまらずソファにもたれかかった私は、瞼を閉じてほどなく意識を失った。
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