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この顛末を雷花姉ぇに話すと、きつく叱られてしまった。
タクシーで家へ帰ったのが、夜九時なので怒られるような気はしていたが。
時間をかけて風呂に入り、温めた夕食を平らげる。
体が隅々まで温まり、ようやく生き返った気がした。
「それにしても、よく帰してくれましたわね」
気を使ってくれたのか、雷花姉ぇが紅茶を沸かし始めた。
「そんなわけがあるか。
当然、脱出したのだ」
「でもどうやってですの?」
私は雷花姉ぇの紅茶で口直しをすると、本紫との立ちまわりを話し始めた。
「まず私は、奴のパソコンを探し出した。
そして小鷹女史愛用のキーロガーを、ダウンロードしておいたのだ」
「キーロガーってなんですの?」
「キーボード経由で入力された信号を、逐一記録するソフトウェアだ。
小鷹女史は、万一のバックアップとして使用している。
最も本紫のソフトは、設定を変えておいた」
「どうなりますの?」
「私のパソコンまで、自動でログを送信する機能をオンにしておいた」
「それでは私的なメールもパスワードも、筒抜けではありませんの!」
「あくまで自衛のためだ。
次に窃盗事件が起きれば、全てを警察に知らせるとメッセージを残してきたからな」
私は紅茶を飲み、喉を潤した。
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