第八席 日用品連続盗難事件

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「次に私は、窃盗事件の物証を見つけた」  制服のブレザーから、ビニール袋にくるまれたハンカチを取り出した。 「奴は盗んだ日付と時間を、わざわざ残している。  被害者の写真を撮影している所から見ると、ある種の性癖だろう」 「この英数字と住所は、なんでしょう」 「転売し利益を得ていたのだろう。  このハンカチも、じきに出品されるはずだったのだ」 「勝手に家を歩き回って。  怪しまれませんでしたの?」 「その後は厳しく行動を監視され、肩が凝ったよ」  本紫の妙な目つきのことは、黙っておくことにした。 「警察を呼ぶにも、住所が分からないからな。  一度外に出る事にした」 「どうしてですの?」 「自販機には、住所を記したステッカーが貼られた物もある。  だから商品を選ぶふりをして、記憶しておいた」 「でもどうやって、監視の目をくぐりぬけましたの?」 「実は奴とお茶を飲んだのだが」  私は奴の荒い息遣いを思い出し、身震いした。 「飲み物に、睡眠薬らしきものを混入されてな。  それを逆に利用してやったのだ」 「まあ!」 「ミルクは薬を混ぜると、苦くなる性質がある。  だから私は、あえてミルクを要求したのだ」  意識し始めると薬のせいか、頭が鈍く痛んだ。
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