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「次に私は、窃盗事件の物証を見つけた」
制服のブレザーから、ビニール袋にくるまれたハンカチを取り出した。
「奴は盗んだ日付と時間を、わざわざ残している。
被害者の写真を撮影している所から見ると、ある種の性癖だろう」
「この英数字と住所は、なんでしょう」
「転売し利益を得ていたのだろう。
このハンカチも、じきに出品されるはずだったのだ」
「勝手に家を歩き回って。
怪しまれませんでしたの?」
「その後は厳しく行動を監視され、肩が凝ったよ」
本紫の妙な目つきのことは、黙っておくことにした。
「警察を呼ぶにも、住所が分からないからな。
一度外に出る事にした」
「どうしてですの?」
「自販機には、住所を記したステッカーが貼られた物もある。
だから商品を選ぶふりをして、記憶しておいた」
「でもどうやって、監視の目をくぐりぬけましたの?」
「実は奴とお茶を飲んだのだが」
私は奴の荒い息遣いを思い出し、身震いした。
「飲み物に、睡眠薬らしきものを混入されてな。
それを逆に利用してやったのだ」
「まあ!」
「ミルクは薬を混ぜると、苦くなる性質がある。
だから私は、あえてミルクを要求したのだ」
意識し始めると薬のせいか、頭が鈍く痛んだ。
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