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「だから私は逆に睡眠薬入りミルクティーを作り、奴に飲ませることに成功した。
まずティーポットには、薬入りのミルクを捨てた。
パック内の新鮮なミルクを、私のコップに移し替えて奴の目前で飲み安心させた」
「でも薬を入れたのなら、味の違いでバレるはずですわ」
「だから砂糖をたっぷり入れて、ごまかしたのだ。
おかげで私が目覚めた後も、奴は机に突っ伏して眠りこけていた。
そこでUSBを回収。
家を出て、流しのタクシーに乗り込んだというわけだ」
「お金を出してまで、子どものハンカチを欲しがるなんて。
奇特な方もいますのね」
「その件だがな」
私は温めていた話を切り出した。
「今しがた、奴がパソコンで出品の手続きをしていた。
宛先は近くの雑居ビル。
住所から見て私書箱ではあるが。
到着は時間指定で、明日の18時になるそうだ。
さてどうする?」
当然のように翌日の放課後、私達は雑居ビルの見張りについた。
17時頃から張り込んだが、人の出入りは全く無かった。
50分を過ぎた頃、宅配業者が一人入りすぐに出て行った。
間違いなく、注文の品が届いたのだ。
更に待つこと20分、体がすっかり冷え切った時だった。
ベージュのトレンチコートを纏った、細身の人物がビルへ入った。
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