第九席 抜け出す虎の謎

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「いくらなんでも、美術品に触ることはできない。  サイコメトリーは、使えないぞ」 「じゃあ雷花ちゃんに、お願いしようかな」  彼女は嬉々として、トートバッグからタブレットを取りだした。 「喜んで、お手伝いさせていただきますわ」  すぐにペイントソフトが展開。  真っ白い画面を表にして、雷花ちゃんはすっと瞳を閉じた。  危なげなく、じわじわと水が染み出すように、画像が現れる。 「何だこれは?」  水花ちゃんが顔を曇らせ、目を細めた。  ソートグラフィーで描き出された場所は、意外にも会議室だった。  照明を切った部屋で、スクリーンだけが煌々と明かりを放っている。  脇では千博さんが、レーザーポインターを手に説明をしている。  館長と副館長が、最前列の会議用テーブルに陣取り、言い争っている。  列の後方には、辛うじて写り込んでいた香染さんが、退屈そうに目をこすっていた。 「ちょっとスクリーン部分を、拡大してみようか」  私が画面をタップすると、スクリーンには画素の荒い文字が現れた。 「館長存続の、メリットとデメリットねえ」 「どうやら、館長の座を巡って争っているらしいな」 「でも館長の座と、一休さんの屏風にどういう関係があるのでしょうか」  雷花ちゃんの問いには、誰も答えることができなかった。
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