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「すぐにでも、真相を知りたいものだね」
「今夜、全ての真実をお目にかけますよ。
そのためにまず、協力して欲しい事があるのですが」
時刻は変わって、深夜十一時。
私、白花姉妹、そして館長は特別展示室の屏風裏で隠れていた。
夜九時に入り、既に二時間が経過していた。
エアコンは効いているものの、照明は当然消しておりほぼ視界は無い。
「何も起こらないではないか」
「しっ。
不用意にしゃべらないでください」
不満そうな館長を、どうにか黙らせる。
その瞬間、遠くでトラックのエンジン音が聞こえた。
十分もすると、音も無く特別展示室の扉がすっと開いた。
闇の中を三つの人影が、足音も無く近づき屏風に手をかけた。
「そこまでよ!」
私が一喝すると同時に、水花ちゃんが飛び出し部屋の照明を全灯。
闇に慣れた目に強い光を浴び、侵入者はたまらず顔を伏せた。
「いったいどういうことだ」
館長は愕然とした様子で、侵入者を見据える。
「我々の入館後、ここまで通じる部屋は、全て赤外線センサーを稼働させたはず」
「アクリルケースを利用したのですよ」
私はこともなげに説明する。
「アクリルには遠赤外線を通しにくい、性質があります。
つまりセンサーの上に、ケースを被せると。
侵入時に生じる体温の赤外線が阻まれ、検知されません。
侵入者は最終退館時に、点検を装ってあらかじめ窓の鍵やセンサーへ細工をしておいたのです」
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