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「言われてみれば。
倉庫にはケースもはしごも、置いていたはずだ」
館長が苦悶の声を発した。
「だが守衛の話では、現場へ急行しても侵入の形跡は無かったそうだが」
「それは本当です。
ヒントは採光窓を覆う、暗幕にありました。
恐らく夜中にセンサーが反応していた期間ずっと、隙間が空いていたのです」
「それが、どうしたというのかね?」
「昨日私達は窓から夕日が差し、センサーを照らしている光景を目撃しました。
誰かが意図的に、窓からセンサーが見えるよう暗幕を少し開けたのです。
高出力レーザーを照射し、誤動作させるために」
私は雷花ちゃんにウインクし、手掛かりとなった画像提供への感謝の意を伝えた。
「国内で製造されているレーザーポインターでは、出力が弱すぎて反応しません。
でも規制の無い海外製品であれば?
優に300メートルは届きます。
ただでさえ、タバコやマッチに着火できるほどの、高出力ですからね。
もちろん輸入販売は、法律で規制されています。
つまり犯人は
①特別展示室のキーを持つ人物
②最近海外渡航しており、現地で購入する機会のあった人物」
びしっ、と私は侵入者を指さす。
「若紫千博さん、あなただけです」
千博さんは動じること無く、ただ不敵な笑みを浮かべる。
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