第九席 抜け出す虎の謎

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 千博さんは動じること無く、ただ不敵な笑みを浮かべる。 「でもどうして、今夜に限って姿を現しましたの?」  館長の疑問を代弁するように、雷花ちゃんが問いを投げてきた。 「理由は二つね。  まずは暗幕の隙間に気付かれ、焦ってしまったこと。  今日以降も隙間が空いていれば、さすがに怪しまれてしまうもの。  次に私の張った罠にかかったこと」 「なるほど!」  館長が大声を出す。 「全職員に、特別展示室のセンサーが故障した為オフにしておく、と通達させたのはこのためだったのですな」 「ご明察です。  千博さんの狙いは、センサーが故障したと思い込ませ、警報を切らせる事でした。  さすがに吹き抜けの天井まで届くはしごは、準備が手間ですからね」  千博さんは、あきらめたように肩をすくめた。 「それにしても、暗幕の隙間からセンサーへの仕掛けを見破られるとは。  おかげで盗みの報酬がぱあよ」 「うちの事務所にも同タイプのを、設置しているんですよ」  私はタネ明かしを始めた。
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