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千博さんは動じること無く、ただ不敵な笑みを浮かべる。
「でもどうして、今夜に限って姿を現しましたの?」
館長の疑問を代弁するように、雷花ちゃんが問いを投げてきた。
「理由は二つね。
まずは暗幕の隙間に気付かれ、焦ってしまったこと。
今日以降も隙間が空いていれば、さすがに怪しまれてしまうもの。
次に私の張った罠にかかったこと」
「なるほど!」
館長が大声を出す。
「全職員に、特別展示室のセンサーが故障した為オフにしておく、と通達させたのはこのためだったのですな」
「ご明察です。
千博さんの狙いは、センサーが故障したと思い込ませ、警報を切らせる事でした。
さすがに吹き抜けの天井まで届くはしごは、準備が手間ですからね」
千博さんは、あきらめたように肩をすくめた。
「それにしても、暗幕の隙間からセンサーへの仕掛けを見破られるとは。
おかげで盗みの報酬がぱあよ」
「うちの事務所にも同タイプのを、設置しているんですよ」
私はタネ明かしを始めた。
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